街並みの継承・景観・風景 Cityscape inheritance

~  編集中  ~

このページでは提案要素ごとに参考作品をカテゴライズを行っています。

​対象作品は全国建築学生賞、全国卒業設計賞、JIA修士設計展、トウキョウ建築コレクション、せんだいデザインリーグ、荒レンガ卒業設計展、全国合同設計展、中部卒業設計展、ディプロマ京都、デザインレビュー、長谷工コンペティション、ダイワハウスコンペティション、ERI学生コンペ、大東建託コンペティション、フューリックコンペティション、パブリックスペースコンペティションです。そのほか、関連の動画、書籍、雑誌、建築物もカテゴライズを行い、最大級最先端、最高技術の建築設計プラットフォームを目指します。

継承と発展
- 旧蒲原宿における職住一体の暮らしの場の提案 -

作品概要

近代化が進行する前の暮らしと生業の関係は、今日大きく変化している。ライフスタイルも変化し、人々の価値観の多様化が進んでいる。伝統的な住宅の形式に着目することで、今日の多様化するライフスタイルのひとつに応えられる、新たな暮らし方を提示できる可能性があると考えた。

静岡市蒲原町は江戸時代、宿場町として栄えたが人口減少の一途を辿っており、宿場の町並みが薄れつつある。ライフスタイルや人の関わり方が変化してきた今日において、建築も形態を変える必要があると考える。宿場町の町並みは東海道に並行に立面が立ち上がっており、町並みは水平性が保たれ、統一された景観を保っている。そこで、東海道に対して建物の軸を45度ふり、和小屋を4本柱で支える新たな架構を提案する。軸をふることにより通りに対して建築をひらき新たな人と建築の関係を作り出し、4本柱のもつ厚みにより暮らしの場をより豊かなものとして提案する。

地方社会におけるアイデンティティの創出として宿場町の特産であったもの、町並みを継承し、今日におけるライフスタイルや人の関わり方の変化にあわせ、新たな建築形態を提示することで、持続可能なまちを目指す。

景態系設計モデル
- 街の生態系に組み込まれる建築景観設計の提案 -

作品概要

営みから地形まで、街は地続きにつながっていた。しかし、現在の街は産業構造が変わり、土地からも解放され個々が別々でバラバラな状態になっている。結果生まれる景観もちぐはぐでバラバラだ。本来景観は、場所の要素が複雑に絡み合い少しずつ変化を加えながら、その場所固有のものになっていたはずだ。

その場所の新たな景観を形成していく為に、建築も景観を形成する一要素として捉えることで、現代のバラバラな街の要素をおおきなひとまとまりに変えていく必要があるのではと考えた。

敷地は千葉県勝浦市。本計画はちぐはぐでバラバラな景観をもつ地方での図書館と集会所の建て替え計画である。
一つの建物で完結するのでもなく、街の要素をあつめるだけでもない。
一つの建物を部分に分解し、街の部分にそれぞれ結びつけることを「分島形式」と捉えなおし、設計を行った。豊かな山、微細な高低差、細い路地と街の異なるスケールが同居するような建築は一つの建築にずれを生み出しながら建ち現れる。
その場所の景観とまとまりながらも、敷地に生まれるずれが新たな発見や出会いを生み、この場所での新たな景観となることを期待した。

堀開き
- 過去を繋ぎ未来を拓く中心の再興 -

作品概要

急激な社会の変化、自然災害などにより、幾度も歴史が分断されてきた日本において、建築が都市の歴史を繋げることは可能か。

城を中心として生まれた近代都市は、外へ向かって拡散し、巨大化するにつれて、その核を失った。人間とかけ離れ、掴み難い存在となった都市に、人間の営みを内へと収束させていくような、新しい中心を据える。

中心の空洞化が著しい地方都市を対象に、城の起源であり、現在も多くの都市に実存している堀を起点とした計画を行う。住民と中心とを分離していた堀の水を抜き、建築化しながら街へと開く。堀の4面性によって分かれた、それぞれ特徴ある周縁の必要とする建築が、堀を乗り越え、城内で混じり合う。石垣を内包する各建築は、補強性と可逆性を保ちながら、石垣を解釈するように建ち現れる。近年、広まった歴史保存の態度により、歴史的解釈は事実に代わって実体を持ち、歴史的事実が不透明になっている中、事実と解釈がどちらも実体として並存することを目指す。石垣と共にある建築での個人の経験は、堀という大きな骨格で建築群がひとつになるように都市全体の共通の記憶となっていく。

人間が造り出した大地を基盤とした建築が建つことで、堀という歴史的事実が人々の生活と共に後世に残っていく。

ベトナムの都市住宅“重ね屋”への試行
- 伝統木造建築の重ね梁からの展開 -

作品概要

現代のベトナムの抱えている問題は”文化の断絶”、”家族の分解”、”住宅の光と熱環境”の3つである。木材不足と伝統の軽視がとても暑い風土に合わない壁式住居が全土を埋め尽くしている理由である。分析では、断面で《家族》祖先壇(仏壇)の威厳を表現する建築架構の”重ね合わせの意匠の文化”を発見し、平面で《環境》過去の伝統木造家屋にベトナムの風土に対する優れた解答である”重ね合わせの空間”を見つけた。ベトナム南部サイゴンの壁式住居が整然と並んでいる風景、そこにはかつてあった風土との適切な関係性はない。この一角に文化・家族・環境の問題を現代的に再編する都市住宅”重ね屋”を提案する。伝統建築からベトナムの風土に対しての関係性を分析することで得られた、池を設け気圧差で風を生みながら、普段は内部だが雨の際には外部になって雨水が入ってくる重ね合わせの空間と、祖先の威厳を表現する重ね合わせの意匠を現代都市住宅へと昇華させた。ベトナムの風土に合った”重ね合わせの空間”と竹の架構に昇華させた”重ね合わせの意匠”を併せ持つ”重ね屋”がベトナムに伝統の可能性と重要性を問う。

日光門前における空間と営みの処方箋による町家・町並みの再生計画

作品概要

 栃木県日光市日光門前は、江戸時代の東照宮造営以来、世界遺産「日光の社寺」の門前町として栄えてきた。現在、長期にわたる街道の道路整備の途中であり、一部の区間では整備が完了したものの、東照宮手前の伝統的な町家が残る地区は未整備のままであり、今後の景観形成を考える上で重要な時期を迎えている。街道沿いには、見世蔵や看板建築というように、人々の営みが反映され時代とともに変化してきた多様なタイプの町家が並んでおり、今後の道路整備を踏まえた上で、次世代の町家と、それらの集合による町並みを考え直す必要がある。

 次世代の町家・町並みを構想する上で、町並みを建築などの物理的なものの集合だけでなく、そこに人々が生きること含めたものと解釈し、「空間」と「営み」の二つの視点を重要視した。その上で、日光門前に特有の「日光らしさ」を表す要素を「らしさ要素」として抽出し、町家タイプを明らかにし、修景セットとなる処方箋を考案した。

 本計画では、今後整備される鉢石地区の町家を、空間と営みの両側面から分析し、町家タイプと町並みの課題となる症状を明らかにした。さらに、症状に対する修景手法のセットである処方箋を提示し、それらの組み合わせによって新築町家・改修町家・空地デザインを設計することで、町家・町並みの再生計画を提案した。

 こうした症状の分析から導き出される処方箋による設計手法によって、大きく変わりつつある町並みにおいて、「らしさ」を失うことなく、これまでのまちを次世代へと繋げていくことができると考えられる。

拡張する石の風景
- 記憶に残る伊予大島 -

作品概要

 研究室活動で2年半にわたり通った愛媛県今治市大島宮窪町。活動中に「ここをどうしたら良いと思うか」と尋ねられた町内のある場所に、大島石による建築を展開した。現地プロジェクトを通して、現地の石屋の方々とともに積石の施行技術を体験し、私は彼らの地域資産への誇りに共感すると同時に、存続の危機にあるそれらのものを守りたいと思った。石の建築の可能性を求め、現代建築も含め、調査、分析したが、最終的にたどり着いたのはここ大島に根付く石積技術であった。現役の採石場がある大島宮窪町は擁壁を持つ住宅や巨大な石垣。

 この提案では、この石の風景を拡張するように石積に機能と造形を与え設計した。石積のランドスケープはうねるように流れ、そのまま建築化していき、内と外の境界なく広がりを感じさせる。見え隠れする風景と一体化する建築、建築自体が風景の一部となり、訪れた人は、巡り歩く中で内外の境界なく宮窪の風景の中を歩く。すでにある魚市場、和船倉庫、博物館、集会所の機能は保ちつつ、コテージ、和船カフェ、石風呂を備えたシンボルの塔を新たに設計した。

 存在感のある素材である大島石は大島の力強さと根付く文化の象徴として、誇りをもってこの町の人に技術と共に守っていってもらいたい。拡張した石の風景は、宮窪の新たな景色となって来る人に力強い記憶として描かれる。​​

自然風景と建築の関係性に着目した建築設計手法の研究
- 「風景のメタボリズム」を射程に入れて -

作品概要

建築がまるで自然風景のような存在であれば、均質な生活風景や都市風景が変わっていくかもしれない、という課題意識から研究及び提案をする。本研究を自然風景論と呼称する。

手続きとして、まず自然風景が内包している様々な空間的概念を抽出し、「一般概念」として建築要素へ翻訳する。次に現代建築における自然風景と建築の関係性を調査分析し「具体的手法」を抽出した。2つの分析より、自然風景のような建築設計へ展開するための概念を「要素の見立て」「素材の見立て」「機能との関係性」「スケールの自由」の4つにまとめた。

これらを基盤にしながら自然風景のもつ空間概念を具象化するべく、建築スタディを行った。

スタディ=Smodelは、ある自然風景(海、森、雲・・)を対象に生活風景を想像している。

自然風景論を社会実装するべく、Smodelを適宜組み合わせながらサイズアップ(=M~XLmodel)した。敷地は東京都内にある実際の施設を対象に、プログラムや容積はそのままに自然風景論的に再構築をしている。

そもそも風景には個人や公共という区別はないし、点々と自然風景(のような建築)が都市に生まれ出ていったなら、生活・都市風景を崩していくだろう。人々の茫漠として一義的な建築の認識や使われ方がより豊かで自由なものに変化していくかもしれない。この示唆を「風景のメタボリズム」と名付け、今後の設計活動への課題としたい。

半麦ハット

作品概要

この修了制作は、淡路島での洋服店の実施設計をめぐる、「見慣れすぎて見えていないもの」をそのままにしておくためのひとつの試みです。(2019 年夏竣工予定)

この地域は、農地・漁港・工場・新興住宅などの様々な風景が入り混ざった、一見特徴のない、どこにでもある郊外のようです。しかし、微差ながらも個別の情報が読み取れ、一概に「どこにでもある」とは言い難く、街の生々しさを表しています。このような、街にある異なるスケールや目的を持つ風景を「カケラ」と名付け、全てを等しく扱おうと試みました。

私は「カケラ」を形態として扱い、それらを組み合わせて設計を行います。設計を通じて生まれた新しい意味(用途や質)は、新たな形態として街に現れます。そして、住民の目に風景として映った時、違和感を起こすような建物を設計しました。

ゾーニングには1/100 のアクソメや模型を、素材のおさまりには実物によるモックアップなど、目的によって全く質の違うツールを扱いました。このような、カケラの持つ情報とツールの選択によって設計を積み重ねた結果、スケールによる設計順序のヒエラルキーから自然と外れ、カケラに平等に価値が与えられた一軒の建築として現れました。

設計者として、建築設計が持っているセオリーに懐疑的になることを、カケラが支えてくれています。

島業の建築 -興居島・移住促進施設による新たな公共の提案-

作品概要

 この一年、私は日本の離島を訪れる機会が多くありました。独自の文化と空気が流れる場所に惚れ込み、社会の縮図である離島のこれからについて考えたいと思ったのが、本修士設計の始まりです。
 島の魅力ある資源を最大限に活用し、島全体で稼ぐ仕組みや生き方、「島業」を構築するための3つの建築の提案です。既存の都市計画による、どこにでも適用されてきた公共の骨格がいよいよ成り立たなくなってきた昨今、そもそも場所独自の文化やそこにしか流れない場の空気と同じように、その場所でしか成立しないような新しい、そして恒久的な公共の骨格を再発見し、建築することで、これからの街の生き方を再構築していくことが建築家の役割として求められているのではないでしょうか。
 愛媛県松山市・興居島の移住促進施設新設に伴う、ヨソモノを受け入れるという起爆剤によって、島の暮らしと公共の骨格は新しく読み替えられます。決してなくなることのない「生業」を介したコミュニティをキーワードに、島の構造の再発見を通して、既存の地域資源と連関し、この場所でしか成立しない島の全体性を、建築することによって再構築します。

都市体験から建築へ - 渋谷における継起的視覚体験の記述に基づく設計手法 -

作品概要

本計画は、都市の記憶を未来へ残す手法の試案である。私たちは常に動きを伴いながら都市空間を体験している。歩行や首振り、微小な眼球運動などスケールは様々であるが、その動きに応じて視野内の構造が変化することで視覚的に空間を体験している。例えば歩行中に、ある建物の背後から別の建物が現れる、背後の建物を隠し始める、といった視覚体験は身体と視対象との位置関係によって多様に存在している。

街を行き交う人々が無意識に享受し続けているこの視覚体験を、都市空間に内在する体験的質、つまり都市の記憶と定義し、渋谷において18の類型を抽出した。そして、観察者の視点で都市空間における視覚体験を書き下し、空間へと変換することで、都市の記憶としての視覚体験を形態により記述する手法を試みた。

Project _ 01 『並走』都市の記憶が立体的に並走する渋谷の肖像としてのギャラリー

Project _ 02 『横断』記憶の断片が縦横無尽に浮遊する渋谷の残像としてのコンプレックス

記述から空間へ、異なる視点から2つの実験的試行へ展開することで本手法の射程を探った。動的な空間記述を設計図として建ち上がるオブジェクトは、都市空間における視覚体験を 存続 / 変異 させながら現象する。それは都市の記憶を 連続的 / 断片的 に想起する空間であり、観察者にとっての無意識を可視化する都市の舞台装置でもある。

五十年の継ぎ手 - 相馬野馬追を通じた集団帰省の提案 -

作品概要

 2011年の東日本大震災によって、福島県相馬地域は津波と原発の二重の被害を受けた。しかし、2016年7月の避難区域解除を起点に、再び元の集落の姿を取り戻そうと動き出している。再生に根本的に必要とされるのは、人々が小高と接点を持ち続けること。そこで相馬地域で千年以上前から行われている『相馬野馬追』を中心とした、年に一度の集団帰省を考案し、その具体的な風景を思い描くことから設計を始めた。
 敷地は相馬野馬追の最終地点である小高神社の境内の足元。この場所は通常新設高校の生徒100人の学生寮・第一次産業の生産拠点として運営されるが、『相馬野馬追』の最終日にだけ(歓迎・宿泊・伝達)の役目を担う集団帰省所に様変わりする。特に『相馬野馬追』に用いられる小高郷の170本の旗印に彩られた新参道はこの場所を象徴している。緩やかなカーブを描いた建築の先端部は帰省者を優しくこの場所に包み込み、上昇する旗の列は小高神社まで続く階段を上るように導き、参拝を経て帰省したことを実感させる。
 この集団帰省は残留する高齢者・移居した生産年齢者・高校生・初来訪者といった多様な状況下にある人々が縁を持ち続ける契機である。将来的にその行為が慣習化し、帰省が日常化し、最終的には帰還という選択肢に繋がることを願う。

連続する記憶
- 共有記憶を再構成する建築の設計 -

作品概要

建築には記憶を蓄えておく機能がある。
本研究は、記憶を建築のひとつの機能として認識することで、記憶に関わる建築の価値を再考するものである。

「記憶」というキーワードから建築や都市を構想するにあたって、建築における最も根源的な事象として「住まうこと」に焦点をあて、 本研究をより普遍的な都市問題と関連づけて考察を行なうために、衰退した地方都市中心市街地における地域居住をテーマとし、ケーススタディとして前橋市中心市街地を選定した。

前橋市中心市街地で、記憶を顕在化する調査を行ない、顕在化した記憶を設計提案に展開することで、記憶に関わる建築の価値を思考し、地方都市中心市街地における現代的な都市更新手法を提示する。

最後に。
私の個人的な切り口から生まれた確信犯的なプロジェクトに対して、建築の文脈において「記憶」を扱った建築家アルド・ロッシの思想を現在にまで引き延ばし、より深く思考するための手立てとする。

辺境にいる

作品概要

ここは誰にでも存在するもうひとつの場所。日常から飛躍した空間へと向かう時、辺境の地へ辿り着いた時、そこはこれまでのしがらみから解き放たれた精神的にも自由な空間であるだろう。この地に降り立つと、そこから続いて行く道の中で時間と空間の感覚を失う。その場所が持つこれまでの記憶によって。ここは水のない砂漠。果てしない先の目的地を目指して、生き物たちは歩き続ける。この場所では人間も動物も同じで、水を求めてオアシスを目指している。「辺境にいる」という言語では説明不可能な状態を「記録」という行為によって空間に結びつける。二0××年 見渡す限り荒野。何もなくなった。広大に広がる景色の中で、何かを必死に探そうとしている。遠くに見える電柱はかつての人々や暮らしを想起させる。広大な荒野を歩く。そんな中、突然現れた一輪の花。今生きている自分を見ているようだった。空間が持っている様々な時代や人々の記録は、今を生きる自分と重なり合う。断片としての計画には、個人の意思、自由な意思を介在させることができ、時間の前後関係を立ち放つ空間の広がりをつくる。それは空間へ記録してきた人々の思いから派生させる。人生の中で積み重ねられてきた空間へ記録された人々の思いは、ある花や、断片的な物体から広がる空間として、物理的な距離とは関係なく浮かんでくる景色や場所であり、それぞれの人によって構成された情景として広がっている。

イタリアと日本の地域再生まちづくり:継承と再生デザインに関する研究 - 土地と暮らしに敬意を払った設計を目指して -

作品概要

3.11の東日本大震災の被災地では、大地震と津波による壊滅的な被害を受けた沿岸部の一刻も早い復興が望まれ、道路の新設や宅地造成のための森林伐採が進められているが、それらは震災前の集落の記憶を無視した計画であった。漁業ボランティアでの漁師さんとの対話を通して、更地となった沿岸部で場所の記憶を頼りに様々な思い出を語る被災者の姿を目の当たりにした。さらに2009年に被災したイタリア・ラクイラへの研究留学を通して、日本と同じく地震国であるイタリアにおける土地の歴史性やそこで生活する人々の意向を最優先に考えた計画事例を学び、日本で進められている土地に根付く記憶を消し去り、それらの記憶を軽視して進められる復興計画や地域再生計画が、地域住民に愛されるまちづくりとしてふさわしいのだろうかと疑問を抱いた。
本研究は、日本の復興計画や地域再生計画を見直すべく、復興計画を完了したイタリアと日本の集落を研究し、移転前後の新旧市街で行われた継承・再生デザインが、どのような手法を用いてその地の歴史性を継承しているのかを理解する。それらの研究から得られた知見が、日本の地方都市で問題となっている地域性の損失や歴史継承デザインを考える上でも、非常に重要な研究となるのではないだろうかと考えた。
本研究を生かして、災害復興デザインに限らず日本の地方都市における地域再生デザインを見直すことを目的としている。さらに、ケーススタディとして定住促進や農業振興イベントが積極的に取り組まれ始めている神奈川県秦野市柳川の地域再生まちづくりを試み、具体的な展開方法を示した。

風景構成要素の関係性に着目した都市構造物の提案 - ピクチャレスクの現代的解釈を通じて -

作品概要

 本設計は混沌と言われる日本の都市に潜在する秩序を発見するためにピクチャレスク概念を探求し、新たな建築、都市への視座を提示するものである。
 18世紀当時から「ピクチャレスク」という語は多義的であったが、複数の文献における言説の考察を通し、ピクチャレスク概念の本質を
A:全体性をもたらす風景構成要素間の関係
B:美(beauty)と崇高(sublime)の感情
の存在と捉えた。これらの特性について、過去・現代の文脈における意味を分析した結果、現代のピクチャレスク風景の全体性は散策者の風景経験の中で構想力によって構築されることを導いた。分析および再解釈から見出したこれらのピクチャレスク特性を、東池袋地区の風景再構成に適用する。東池袋地区は副都心の商業地区と昭和時代の古い猥雑さが同居している場所である。現在この地域では再開発による地域性の統合によって、複雑に混在した地域特性が損なわれてしまうことが危惧される。そこで、この地域の中心を貫く高速道路高架を〈起因素〉とした、東池袋地区の風景の再構成を図る。

人が風景から感じとる違和感や不思議さについての考察 - 意識が入りこむ要素をもつ建築の設計 -

作品概要

一見なんの変哲もないような風景に、違和感を感じ目をとめてしまうことや不思議だと感じることがある。そんな風景や空間がもっている不思議さや違和感の要因を知りたいという思いがあった。そういった風景にある要素は、観察者になにかを想像させる力を内包していたり、認識をゆさぶる力をもっている。観察者がその風景と対峙することによって何かしら思考をめぐらすような働きかけを、本提案では「(その対象に観察者の)意識が入りこむ」という言葉で表している。意識が入りこむ要素を知ることで、絶対的なものとしてある物理的空間からそれ以上の空間体験や広がりのようなものを観察者それぞれの認識によって生むことができると考える。本提案では、風景を主観のみにかたよらず分析していくため3つの方法を用いて分析していった。1つにチャールズ・サンダース・パースの記号論を用い知覚現象を記号的視点から分析し重要な要素を浮彫りにするという方法。2つめに自身のイメージと写真を元に他人に風景の模型化を行ってもらい、 風景を客観視して考察する方法。3つめに風景から感じ取った感覚的なイメージのスケッチを重ね、 イメージの輪郭をつかむという方法である。こうして得た要素を用いて「意識の入り込む建築」の設計を行った。

景観構造の透視図的解釈に着目したJR上野駅エリア改修計画

景観計画と建築設計の一体的な提案について考察します。
JR上野駅エリアは景観形成特別地区に指定される一方で、都心の開発部にあるため、近隣には再開発事業などより超高層ビルが建設され、景観への影響が懸念されています。そこで本計画では既存の景観計画を参照し、景観計画の理念を伴う建築設計を試みることで、経済発展と文化資源の保護など、文化財的価値を有する対象建築物及び対象地区周辺のバッファーゾーンにおける建築設計の手法を提案します。
はじめに景観計画の事例を参照し、抽出した評価基準をJR上野駅の改修計画に適用させます。静的な視点をもつ景観計画の絵画的特性から、各事例の消失点に着目、その特徴4点と周囲の建物形態の比較により、周囲の建物形態が景観に与える評価基準「A.景観のモニュメント化」「B.景観の一体的形成」「C.景観の目的設定」「D.景観の整理」を抽出しています。
国立西洋美術館への眺望を意識した既存の視点場A1に加え、周囲や上野公園への眺望を意識した視点場Cを設定し、各視点場から見るJR上野駅の形態に評価基準ABCDを適用させ、「JR上野駅を通して背景の景観をいかに見せるのか」という視覚的効果にもとづいて駅舎の内観と外観を設定しています。  視点場の概念を建築設計に取り入れることで、建物と同時に建物の見え方をデザインし、建物(景観)を見る人々と建物を使用する人々の異なる行為の重ね合わせにより建築空間を提案しています。

既存構成を保存した街区の再構築 

20世紀の都市は空間が私有の対象であり、売り買いの対象であり、空間も商品であることを発見した。売りやすいハコ、高く売れるハコを優先する基準によって空間を取り巻く場所性は省略され、床だけを積層させた建物が発明された。規格化されたハコの中へ生活を埋め込んだ都市構造は、そこにある建物は空なのか埋まっているのか誰も実際には分からない構造をつくり、都市はブラックボックス化した。ハコに入る機能は場所に捉われない、コンテクストに捉われない性格ゆえにどこにでも入り込んで更新を促すが、逆説的には機能を制限した。

この提案はそんな「形態と機能の断絶」した現代都市で「集合」する意味を再考し、都市が持つ有機的な小さな成長を建築に取り込もうとしたものである。空間を作る「形式」と空間を分ける「境界」をデザインソースとしてアプローチした。機能は形態に従うトップダウン型の「計画」から形態は機能に従うボトムアップ型の「形式」を模索し、それを成立させる「境界」をリサーチした。

人間のアクティビティーが空間を構成する形式はインタラクティブに既存の文脈を読みヒューマンスケールの小さな更新の積み重ねで空間を形成していく。そして、空間をカスタマイズしていく「境界」はその場所のアクティビティーの状態を可視化させる。こうした方法論は時間軸を内包した「生きたシステム」であり、無限のデザインを展開するための有効なツールと考える。

biblioteca da floresta

地域独特の環境(風景の在り方までを含む)を考慮して生まれた建築の内部には他の土地にはない新しい空間性が提示されているべきである。しかし、 地域独特の美を最大化するような空間性は既に建築や都市に内在しているものではなく潜在的なものである。そのような建築を設計することは文脈から断絶された概念を持ち込むような強引さに満ちている。強い批判をあびた建築が時代を経てその場所の象徴になることが現実にあるように、地域の魅力を最大化する建築を設計することとその地域について考えることは相反することである。 本設計ではブラジル特有の内部のような軒下空間、超越的なスケール、多方向配置、折れ曲がる傾斜路を設計の手がかりとし、ヴィトリア(ブラジル、エスピリサント州)に風を感じることのできる図書館とコミュニティセンターを複合施設を計画する。

南池袋二丁目都市計画道路沿いの街並み再生計画

近年、街並み・景観への関心が高まる中、依然として経済主義的開発による魅力に乏しい街が大量生産されている。
本計画は、街づくりを行う上で都市計画道路整備に伴う沿道開発に焦点を当て、代官山や表参道に見られる街並形成がそうであるように、街の賑わいを生むきっかけとなりうる職・住・学複合建築群の設計による街づくりを行うものである。
計画地区は豊島区南池袋二丁目。現在、都内の都市計画道路事業は122件、その事業の中で、環状5-1号線は東京都「しゃれた街並みづくり推進条例」に基づき指定された、街並み再生地区の豊島区南池袋二丁目内を横切る形で事業が進んでいる。計画道路沿いの整備の必要性があり、上記条例が目指す個性豊かな街並みづくりのモデルとして提示するため、このエリアを計画地区として選定する。
本計画手法は、都市計画道路とともに密集住宅地に表れる新たな建築群において、計画道路により変わる環境と、従来の良好な環境の継承を両立させる計画とし、路地や溜り場を、吹抜けや共用空間、文化的スペースとして建物内部・外部空間に置き換えた。その空間を通常の開発では裏側となる住宅街側に配置し、住民達が集まる場所として再構築している。
またプログラムのグルーピングにより、利用者となる社会人と学生の産学協同や、イベントに参加する住人・子供達の活動などが、新たな形で形成され、街並みに賑わいをもたらす場所となる。

街並みを守るベルトは時を囲う

どんなに思い入れのある街並みも時が経つ事によって,いつか消え去ってしまう.思い出のある路地裏や住宅同士の抜け道もいずれ更地にされ,新しい建築が立ち,街並みが生まれ変わる.そうやって都市は発展してきた.しかし,場の記憶をそのまま抹消していくのではなく,継承したまま新しい街並みと住人を共に歩ませたい.この住まいは,敷地内に時間をかけて作られた住宅街が役目を終え,朽ちた時に「ベルト」と称した建築で囲い込む事によって,街並みという形をそのまま保存し,その街並みの中身だけを商業地帯へと書き換える事によって,過去の記憶を残したままベルトに移り住んだ住人と共に発展させていく提案である.過去路地裏として使われていた場所は,新しい商業地帯としてはメインストリートとなり,住宅同士の隙間はベルトへの動線となる.街並みの記憶を残したまま,継承する事によって住人はベルトから変わらない景色と変わりゆく景色の両方を楽しむ.

 コンセプト ~

このサイトは様々なサイトや学生団体をまとめるある種「建築学生の教科書的役割」を果たしています。サイトの情報は先輩から後輩へ引き継ぎ共有していくため日々更新を続け成長していきます。全国の全建築学生が共有できるよう友達にサイトを共有しよう。 リンク

 サイトマップ ~
 コメント ~

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Zenkoku Kenkomi​ 2020 ParticipatoryArchiveMedia

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