​全国ケンコミ建築設計研究所
​世界建築史Ⅲ

多様社会(建築家中心の建築)

ポストモダニズム建築 脱構築主義建築 還元主義建築

​~ 第4 建築の始まり ~
​第6章 風景と建築

コンテクストと言うと、文脈や状況などを読み解き、つなぎ合わせていくようなニュアンスがあります。記憶という言葉は不確かすぎるかもしれませんが、基本的に建築家は、ある場所の上に建築を積み上げていく作業をするわけですよね。でも、いちど場所を掘り下げ、遺跡を発掘するように何かを探していくと、記憶の痕跡がいくつか見つかり、最初はよくわからないのだけれど、何か可能性があるのかもしれないと思える発見がある。

​都心的風景

戸建が立ち並ぶ郊外住宅地やタワーマンションが聳える湾岸部、再開発が繰り返される都心などさまざまな建築の風景の生成が、建築家の仕事とは無関係に繰り広げられている。こうした風景がいかに作り出されるかを知るのは容易ではない。筆者が研究するハウスメーカーの住宅を例にその複雑性を指摘しよう。

住宅街を歩けば、(研究対象なので当然ではあるけれども)商品名を言い当てることができる住宅もある。しかし、それらはヒット商品や外装材に特徴あるもので全体のごく一部である。商品名はおろか、会社名もわからないものが多い。実際、ハウスメーカーが供給するプレハブ住宅は新設住宅着工戸数の全体に対して約15%を占めるに過ぎない。日本の戸建のおよそ4分の3が在来木造であり、その担い手の半分は地場の中小工務店である。そして窯業系サイディングに覆われてしまえば、外観からそうした供給体の違いは一見してわからない。つまり、ハウスメーカーの住宅が少数派であるというだけでなく、住宅生産の多様な担い手の存在が判別しづらいのが現状だ。

建築家・石山修武氏らによる1980年代の「商品化住宅」批判はこうした住宅産業自体が不透明になっていく過程を背景にしている。彼らの批判が示す「商品化住宅は消費者がカタログから選ぶだけ/労働者が指示通り組み立てるだけだ」という見立ては消費社会において住まい手も作り手も主体性を失ったという重要な指摘である。しかし、実際にはメーカー住宅に対して多くの住み手が愛着を持っているし、職人たちはさまざまな独自の工夫をしながら生産している。どのようなプロセスを経てその住宅を建てられたかを十分に検討せずに、「消費社会」という大きなフレームを与え主体性がないと判断してしまうこと自体に、住宅産業の連関から疎外された当時の建築家の立場が映し出されている。

こうした現実の建築の風景に対して、建築家を含む建築に携わるさまざまな人々がアプローチするために必要なのは外側からの批判ではなく、その内側に入り込み、連関自体を注視することではないだろうか。

◆◆建築的な継承建築

■田根剛

マニフェストがあって建築が新しい未来を創るという近代的な考え方に限界を感じたこと、それよりも記憶こそが未来を創るのではないかと考えたこと、それが「Archaeology of the Future」「未来の記憶」のタイトルをつけた理由です。《エストニア国立博物館》でも、ソ連時代の軍用滑走路という負の遺産にさえ、記憶の集積があります。そうした場所の記憶を深いところまで掘り下げそこから未来につなげるということをやっていきたいと考えています。

歴史というのは時代によって編集され、情報化されます。ここで言う記憶とは、個人の記憶ではなく集合的記憶のことです。記憶は文明や文化によって蓄積されることでよりスペシフィックなものとなる。場所の記憶は、情報がこれだけあふれた社会であっても、掘り下げていくとさらにまだ出てくるところがおもしろくて、そこから建築の未来が見えるのではないかと考えています。

  詳細  

   写真  

◆◆都市計画よりの継承建築

■街の歴史を伝え続ける歴史的建築物を、都市再生の中でいかに存続させるか―建築設計者は歴史継承と課題克服の相反する問いに、最適解を導きだしていかなければならない。本書は、そのための設計思想を紹介する。豊富な写真や図面とともに、手法だけでなく、著者が実際に携わった事例(日本工業倶楽部会館、三菱一号館、東京中央郵便局舎、歌舞伎座)を交えて紹介する。

■日本工業倶楽部会館

■三菱一号館

■東京中央郵便局舎

■歌舞伎座

 

◆◆都市の継承

カリフォルニア科学アカデミー

カリフォルニア科学アカデミーは、自然界の研究に関してだけでなく、それらの調査をその建築に実装する側面においても、主要な科学機関としての地位を占めています。レンゾピアノによって設計された、それは持続可能なシステムの広範なネットワークのために注目に値します。これらには、自然換気、放射床暖房、HVAC機器、高性能ガラス、および逆浸透加湿システムによって生成された熱を取り込んで使用する熱回収システムが含まれます。これらの集中的ではあるが慎重なシステムの結果として、この建物は可能な限り最高のLEED格付けであるLEEDプラチナを受賞し、世界最大のそのような公共の建物になりました。
しかし、施設のイメージを形作った最も顕著な要素は、その巨大な波状の緑の屋根です。建物の上には2.5エーカーを超える植物相があり、サンフランシスコで最も密度の高い在来野生の花が集中しています。それは在来の鳥や昆虫を引き付けることによってそれ自身の生態系を作成します。自然光が公共スペースの90%を透過できるようにします。冷たい空気を広場に引き込みます。しかし、これらのランダムに見える要素は、まとまりのあるシステムを作成するためにどのように連携するのでしょうか。この課題では、CASの緑の屋根と、その要素の範囲が他の同様の屋根とは異なる動的システムを作成する方法に焦点を当てます。CASの屋根は、次のような意味で「生きている」ので、注目に値し、独特です。
1.上記のサンフランシスコのエコシステムを拡張し、
2.その巨大なスケールと形状は、ダイナミックな気候システムを作成します。
非常に統合されたシステムを作成するために、屋根の上と下の両方が相互作用します。

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   写真  

 

エコロジー建築:パターン2

<植物など自然界のものを取り入れることで、環境問題への対応を試みたもの>

主に建築と自然の融合が目的になっている。機械的なテクノロジーを駆使するというよりも、自然を取り込むことでエコロジー対策を試みるもの。パターン1が自然をどうにかコントロールしようとする意図があるのに対して、パターン2は東洋的な自然感に近いアニミズム的発想がある。

記憶的コンテクスト

​継承建築のタイポロジーとして建築的な要素を継承する継承建築と都市計画的な要素を継承する継承建築、都市を継承する建築群の3つを上げそれぞれについて事例を踏まえて可能性を提示していく。

◆◆建築的な継承建築

■田根剛

マニフェストがあって建築が新しい未来を創るという近代的な考え方に限界を感じたこと、それよりも記憶こそが未来を創るのではないかと考えたこと、それが「Archaeology of the Future」「未来の記憶」のタイトルをつけた理由です。《エストニア国立博物館》でも、ソ連時代の軍用滑走路という負の遺産にさえ、記憶の集積があります。そうした場所の記憶を深いところまで掘り下げそこから未来につなげるということをやっていきたいと考えています。

歴史というのは時代によって編集され、情報化されます。ここで言う記憶とは、個人の記憶ではなく集合的記憶のことです。記憶は文明や文化によって蓄積されることでよりスペシフィックなものとなる。場所の記憶は、情報がこれだけあふれた社会であっても、掘り下げていくとさらにまだ出てくるところがおもしろくて、そこから建築の未来が見えるのではないかと考えています。

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   写真  

◆◆都市計画よりの継承建築

■街の歴史を伝え続ける歴史的建築物を、都市再生の中でいかに存続させるか―建築設計者は歴史継承と課題克服の相反する問いに、最適解を導きだしていかなければならない。本書は、そのための設計思想を紹介する。豊富な写真や図面とともに、手法だけでなく、著者が実際に携わった事例(日本工業倶楽部会館、三菱一号館、東京中央郵便局舎、歌舞伎座)を交えて紹介する。

■日本工業倶楽部会館

■三菱一号館

■東京中央郵便局舎

■歌舞伎座

 

◆◆都市の継承

カリフォルニア科学アカデミー

カリフォルニア科学アカデミーは、自然界の研究に関してだけでなく、それらの調査をその建築に実装する側面においても、主要な科学機関としての地位を占めています。レンゾピアノによって設計された、それは持続可能なシステムの広範なネットワークのために注目に値します。これらには、自然換気、放射床暖房、HVAC機器、高性能ガラス、および逆浸透加湿システムによって生成された熱を取り込んで使用する熱回収システムが含まれます。これらの集中的ではあるが慎重なシステムの結果として、この建物は可能な限り最高のLEED格付けであるLEEDプラチナを受賞し、世界最大のそのような公共の建物になりました。
しかし、施設のイメージを形作った最も顕著な要素は、その巨大な波状の緑の屋根です。建物の上には2.5エーカーを超える植物相があり、サンフランシスコで最も密度の高い在来野生の花が集中しています。それは在来の鳥や昆虫を引き付けることによってそれ自身の生態系を作成します。自然光が公共スペースの90%を透過できるようにします。冷たい空気を広場に引き込みます。しかし、これらのランダムに見える要素は、まとまりのあるシステムを作成するためにどのように連携するのでしょうか。この課題では、CASの緑の屋根と、その要素の範囲が他の同様の屋根とは異なる動的システムを作成する方法に焦点を当てます。CASの屋根は、次のような意味で「生きている」ので、注目に値し、独特です。
1.上記のサンフランシスコのエコシステムを拡張し、
2.その巨大なスケールと形状は、ダイナミックな気候システムを作成します。
非常に統合されたシステムを作成するために、屋根の上と下の両方が相互作用します。

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エコロジー建築:パターン2

<植物など自然界のものを取り入れることで、環境問題への対応を試みたもの>

主に建築と自然の融合が目的になっている。機械的なテクノロジーを駆使するというよりも、自然を取り込むことでエコロジー対策を試みるもの。パターン1が自然をどうにかコントロールしようとする意図があるのに対して、パターン2は東洋的な自然感に近いアニミズム的発想がある。

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