【ベルリン・フィルハーモニー】

設計者はハンス・シャロウン。1963年に竣工した。ホールは五角形の建物で、ヴィンヤード型の大ホールの収容人数は2,440席、室内楽ホールは1180人である。

音楽が焦点となる。これが最初からの基本方針である。主となるべきこの考えは、ベルリンの新しいフィルハーモニーのホールに形を与えるだけでなく、建物全体の計画の中で、最も優先されるべきことである。オーケストラと指揮者は空間的にも視覚的にも中心に位置する。「作り手」と「受け手」の分離はなく、親密さを持ち、直接的で共に音楽を創り出す雰囲気を共有することができ聴衆のコミュニティを見出す。人間と音楽と空間が新しい関係のなかで集合するのである。テントに似た天井は、大地の風景に対する空の風景になっている。凸型のテントに似た天井は、できる限り音を拡散し短で音の波が届くように努力が行われた。

　シューボックス型のホールに見られるように演奏者と聴衆のかたまりが向き合って対峙するのではなく、聴衆が自然と演奏者を取り囲む関係を建築化した。ホールは内部空間の要求をベースとして、内から外へと設計されなければならないと考えられていた。外観壁はコンクリート打放しのペイント仕上げに減額されたが、後年1980年代に金属製パネルで覆われることとなった。

ステージに向かって上手側（右側）の上方にパイプオルガンが設置されている。ステージの雛壇はパンタグラフ方式で上昇する。最近のホールはエレベーター式となっているものが多いが、このホールでは開館後にこの装置を設けたため舞台下に充分な空間がなく、この方式が採用された。